第3回 有人ミッション側から(嶋田和人)

SELENE/かぐやが大きな成果をあげたため、SELENE2のミッション検討の初期には医学生物の装置搭載が議論されていました。2012年3月には有人担当にも富士山溶岩チューブの見学と研究会の声がかかり、私はその参加準備で初めて月面縦孔の春山先生による発見の話を知りました。

「なぜ孔の発見が内部でも知られていないのか」

「このままでは日本の探査機が最初に縦孔に到達する見込みは少ないんじゃないのか」

というのがその時の所感です。

私は10年間診療・研究をした後に公募で旧NASDAに移り、20年間飛行士のスペースシャトル・国際宇宙ステーション飛行の健康管理を中心に航空宇宙医学の仕事をしてきました。UZUMEでは縦孔有人ミッションの検討、微生物汚染コントロール方策に加えて、縦孔とUZUMEをどうやったら広く知って頂けるかの議論に参加しています。

2014年宇宙博での縦孔ミッション展示で説明員をした際には来場者の方が「日本の宇宙探査」に大きな興味をお持ちであることが分かりました。地球を離れた有人ミッションには莫大な経費がかかりますから、まずは縦孔・溶岩チューブを汚染せずに無人探査する日本発の計画を練るのが大切と考えています。

嶋田和人 SHIMADA, Kazuhito