第6回 とてもワクワク 宇宙へ行ったモノを動かす(茂渡修平)


こんにちは、茂渡(しげと)と申します。
私は現在、宇宙機の制御技術の研究開発に携わっています。

2012年頃、当時ISAS(宇宙科学研究所)の学生だった私は、月に垂直に空いた穴があるという話を初めて聞きました。発見されたのが2009年ですから、3年遅れになります。その時は具体的なことはまだ分からないけれど、「へー、面白そうだなあ。探査するとなれば高度なロボットが必要だなあ」と考えていました。

自分の手が届かないような遠くにあるモノを、うまく動かす、ということに興味を持っていたので、指導教員の講義のレポートでは縦孔探査ロボットの構想を描いて提出しました。
それが縦孔探査研究に関わり始めた最初です。

■遠くのモノをうまく動かす
学部の時の専門が制御、院生の時の専門が宇宙探査ロボット、そして今は再び制御を専門に仕事をしています。共通しているのは、「モノをうまく動かす」というところです。
元々制御工学を勉強したいと思ったきっかけも、遠隔操作で動かすラジコンのようなモノを自律で動かしてみたいと思ったところからでした。
制御の技術を使えば、人間が反応できないような短い時間でモノを動かしたり、通信にとても時間のかかる遠くのモノをタイミングよく正確に動かすことができるようになります。

宇宙という究極の遠隔地で、うまく宇宙機を動かすという仕事はとてもワクワクします。


■縦孔探査
月面の縦孔は発見されて間もない地形です。まだ誰も中を調べに行った人はいません。
縦孔の中はどうなっているのだろう、どうやったら中に確実に入れるだろう。そう考えるだけでも楽しくなります。
将来人類が月面に基地を作り、その中で暮らすかもしれない。あるいは穴の中には太陽系の過去を紐解く証拠が隠されているかもしれない。その先鋒となれるよう日々精進しています。

茂渡修平