第7回 月に降りる探査機を作りたい(香河英史)

~月に降りる探査機を作りたい~

 月惑星探査に足を踏み入れたのは、H-IIロケットの開発がほぼ終了したころに遡ります。ロケットと人工衛星がほぼ国産できるようになって、国として当初の目的を達成した後に何をするかという議論をしている最中に月惑星の開発利用の研究というものに出会いました。そこでの研究活動が今回の月の縦孔を発見した”かぐや”に繋がっていきました。縦孔の発見者の春山さんとはそれ以来のお付き合いになります。
 月に行くには、まず周回衛星で観測をし、次に着陸をしてその場観測をおこなわなければなりません。その上で、さらにその場観測では分析できない試料を持ち帰ることが、月の科学にとってとても重要だという議論を熱く交わしたのがつい先ほどのような気がします。当時から着陸用の探査機に興味あった私はその構想に非常にワクワクしました。

 時代は、流れて、かぐやの運用が終わり次は昔に検討した通り、月面着陸だと思い10年ほど前から、着陸機の推進システム特に国内で全く実績のない着陸用のロケットエンジンについて検討をしてきました。しかし、具体的な構想がないとエンジンの大きさ一つ決めることができませんし、気が付くと諸外国では、月面に着陸する技術というものをどんどん取得してしまっています。

 私たちエンジニアは後追いでは?と意義を問われていますが、月着陸用の推進システムは世界的にまだ市場に出回っていません。せっかく見つけた将来の月面活動を考えるといろいろ有利な場所である縦孔に一番乗りをと熱く月着陸を語るuzumeの皆さんとともに月面さらには縦孔を目指したいと思います。

月着陸船担当 香河英史