第8回 日本発の発見から月探査、そして月のホテルに直結しうるミッションに (加藤裕基)

 加藤裕基と申します。ロボティクスが専門です。私にとって月縦孔探査計画とは、日本発の発見から月探査、そして月拠点、月のホテル建設に直結するポテンシャルを持つミッションであり、魅力的だと思います。今はそれほど貢献できていませんが、もっと関わっていきたいです。

 宇宙ロボットやってます、と言うと、カッコいいですね、とか、ロマンがあっていいですね、とかおかげさまで必ずポジティブな返事が返ってきます。宇宙は学生にも人気があり、少なくとも国内では宇宙工学の学科は一番学生が殺到するために難関になってしまうそうです。大学が海外でしかも地上のロボットをやっていた私には無縁だった話ですが。

 なんで宇宙開発がこんなに人を惹きつけるか?と思った時、その秘密は探査にあると私は思うのです。これまで絶対誰も行けなかったところに行き、知らないことを知りたい、を叶えたはやぶさ。はやぶさ2も次の旅に出ます。人類の活動領域が広がったアポロ計画や、日本人宇宙飛行士も滞在する国際宇宙ステーション。そんな一番純粋な人間の欲に近いところにあるのが探査なのだと思います。

 探査は目下ほとんどお金を生み出しませんから産業のチェーンにも入れませんので、納税者の方々にありがとうございますと言いながら血税を使わせて頂いています。自分たちが払った税金が探査になっているんだという目で見ることはあまりなかったと思うのですが、自分が応援してきたものがこんなに素晴らしい成果を出したと日本国民として誇りを持ってもらえるように我々もミッションを興し、情報発信をすることが求められています。我々のロボットを見ていて下さい。

(加藤裕基)