マリウスヒルの縦孔

~かぐや(SELENE)が最初に発見した縦孔~

縦孔の概要
月の縦孔で最初にみつかったマリウス丘(ヒル)の縦孔は、英語で表記すると、「Marius Hills Hole (MHH)」となります。
孔の位置は、北緯14.2度、東経303.3度、月の平均半径1737.4kmからの高さは、マイナス1.65kmです。月の一番大きな海領域(黒いところ)である「嵐の大洋」の中程に位置しています。
孔の形は、ほぼ円形ですが、詳しく見ると若干いびつな形をしていて、長径 59m、短径50mです。深さは、約50mと推定されています(※)。
(※)最初の報告では、深さは80mに及ぶかもしれないと計算されましたが、その後のより精度の高い画像情報を基に、計算し直された結果、50m程度の深さと計算されています。
(春山 ら、2012年、Springer社発行「Moon」内掲載論文)

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マリウスヒルってどんなところ?
月の縦孔が最初にみつかったマリウス丘(ヒル)は、月の嵐の大洋の中程に位置する、差し渡し300kmにもおよぶ、火山が寄席集まるようにして出来た「複合火山体」で、月面最大の火山地域です。地形カメラデータを基にして作った標高データでわかるように、マリウス丘の中央やや東部にもっとも標高が高いところがありますが、おおよそ、1~2kmと非常になだらかな山体です。また、数多くの小さな「ドーム」状の火山が見られるのも、マリウス丘の特徴です。
縦孔が見つかったのは、マリウス丘の西側斜面に存在する、溶岩の流れた痕「リル」地形の中に、でした。

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LROによる縦孔高解像画像
SELENEが打ち上がって二年後、米国は、LROという月探査機を打ち上げました。LROには、全球観測用の広角カメラ(100m画素解像度)と、超高解像度ピンポイント観測用狭角カメラ(1m画素解像度)が搭載されていました。SELENEの発見した縦孔の位置情報は、LROチームにも伝えられ、その情報を基に狭角カメラを使っての詳細な観測がなされました。 LROの画像から、多くのことがわかります。

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1)地下に巨大な地下空洞がある
画像から、孔には底があることがわかります。もし底が、試験管のようであれば、他のクレータの底のように見えるはずです。しかし、そうなっていません。底と、孔の垂直な壁との間が、明らかに、つながっていません。つまり、壁と底の間には、縦孔の直径を超える巨大な空間、地下空洞が存在しているといえます。

2)この孔には、ほぼ平らな底がある
孔底に見られる日照部分と日陰部分の境界は、孔の表面の縁が投影された部分になります。この底での境界と縁の形状が一致します。もし、孔の底に山があったり、へこみがあれば、孔の底の境界と、表面の縁の形状は一致しません。つまり、底は平らなのです。もし空洞の天井が崩れて、縦孔ができたとすると、その瓦礫があってもいいはずですが、ありません。これは、非常に大きな謎です。

3)周りに大きな岩やクレータが無い
孔の周りに、少なくとも半径100mの周りには、mサイズの大きな岩がありません。したがって、中からガスが抜けた際にこの孔が出来たとは考えにくいことになります。岩だけで無く、数10mサイズのクレータもありません。100m程度のピンポイント着陸精度があれば、この領域に着陸する際の安全性がかなり、いえることになります。また、着陸点からの、孔への接近も、用意であるといえます。

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LROの斜め撮像
上の二枚の画像は、LROが衛星を斜めに傾けて、縦孔を撮影したものです。左は、東側から、右は西側から、撮ったもので、それぞれ、地下の空洞をのぞき見る形になっています。こうした画像から、マリウス丘の縦孔の地下空洞の天井は20mに、奥行きもまた10m以上にも及ぶことが、わかりました。

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